オリーブオイル基礎知識

オリーブオイルってどんなオイル?

国際オリーブオイル協会の国際基準では「オリーブの木の果実だけから採取した油で、溶剤を使用したり再エステル化処理によって得られた油ならび他のいかなる種類の油も一切含まない油」とされています。
つまり、オリーブオイルとは100%オリーブの実から取れた油のことです。しかも加熱処理をしないので、ビタミン・ミネラルなど果実の天然成分が破壊されず、オイルにそのまま含まれています。

オリーブオイルは、植物油の中でももっとも酸化*しにくく安定しているといわれており、病気の原因となる活性酸素を取り除く抗酸化物質などをとても豊富に含んでいる、ヘルシーで体にいいオイルなのです。


酸化*とは

動・植物油はグリセリンと脂肪酸が結合してできたものですが、 熱や衝撃などで結合したものが離れてしまい、その遊離してしまった脂肪酸の割合を酸度として表します。この酸は空気中の酸素と結合しやすく、これが「油の酸化」と呼ばれる現象です。この酸度が高い油ほど「悪い油」なんですね。

オリーブオイルの歴史

オリーブは人類によって最初に栽培された植物の一つであると言われています。

オリーブの栽培の歴史は私たち日本人が考えるよりはるかに古く、なんと紀元前5000年前のオリーブオイル圧搾機がイスラエルで発見されています。少なくともそれ以前からすでに栽培されていたわけで、ヨーロッパの神話にも数々出てきます。

メソポタミア文明の栄えたバビロニアではオリーブオイルは薬として使われ、そのころからビタミン源として健康を支え、けがを治したり、日焼けによるほてりを鎮めたりしていたそうです。

エジプト人にとってのオリーブオイルは「神イシスの神の贈り物」、 ギリシャ人にとっては「オリーブの木を最初に生えさせたのは女神ミネルヴァだ(有名なギリシャ神話)」とされており、 ヘブライ人にとっては「アダムの時代より知られている」・・・と、地中海に住む人々にとってオリーブオイルは遥か紀元前より神様の油として、今に至るまで愛され続けているのです。

オリーブの実を搾るだけで簡単に作ることができるこのオイルは 人類が最初に手にしたオイルです。もともと「オイル」と言えばオリーブオイルのことで、それは「オイル」ということばの語源が、オリーブを意味するアラビア語やスペイン語からきていることでもわかります。

原産地はトルコ南部、地中海に面した地域とされており、その地域では今でも野生のオリーブが自生しています。

そして小アジア・トルコを中心に南はシリア・ヨルダン・イスラエルを経てエジプトへ、また西はギリシャにまで広り、その後地中海全域で作られるようになっていきます。

古代ローマ帝国時代にはその膨大な消費を支えるために、オリーブ栽培が広く行われるようになりました。

当初オイルはオリーブオイルだけでしたが、搾油技術が発達してくると、さまざまな種類の種子から採油が可能となり、長期保存ができて大量に作れ、しかも安い他種の植物油が出回るようになりました。

近年では、オリーブオイルが優れた食品であることが科学的にも証明され、世界中からも注目されています。

とはいえ、オリーブオイルの消費量は未だ植物油全体の消費量の3%に過ぎず、これから先計り知れない可能性を秘めているオリーブオイルから目が離せませんね!

世界のオリーブオイル

イタリア以外にもオリーブオイルを作っている国はたくさんあります。

オリーブの主要な栽培地は地中海沿岸ですが、非常に乾燥した土地でも耐えられるという特徴から栽培できる地域が広がっていき、オーストラリア、中国、南米、北米などでも作られるようになりました。

オリーブオイルの生産量の上位1、2位を争っているのがイタリアスペインです。

そして日本に輸入しているほとんどのオリーブオイルが、イタリア産とスペイン産。

スペインは世界のオリーブオイルの生産量の約1/4を占めており、気候に恵まれたアンダルシア地方で育てられたオリーブからは味・香りともに申し分ないオリーブオイルが搾油されます。イタリアはそのスペイン産オリーブオイルを大量に輸入してブレンド、もしくはボトル詰めのみ行い、以前よりイタリア産として輸出し、世界から高い評価を受けています。

しかし、せっかくの素晴らしいスペイン産のオリーブオイルもイタリアでボトル詰めをされると『イタリア産』ということになり高く評価され、一方『スペイン産』のオリーブオイルがあまりブランディングされていなかったので、最近は自国スペインでもボトル詰めし販売するところが増え、 そして現在は世界各地に『スペイン産』として輸出し、世界からも高く評価されるようになりました。

その他、地中海では南フランス、ギリシャ、トルコ、シリア、チュニジア、モロッコなどもオリーブオイルの産地として有名です。 また、オーストラリアアメリカのカリフォルニアでも生産されています。
最近では、アルゼンチンチリなどの南米でも美味しいオリーブオイルが作られています。
そして日本では、小豆島和歌山などでオリーブオイルを生産しています。

育つ場所が異なれば、たとえ同じ品種であっても気候風土の違いにより、同じような特徴はありつつもその地域ならではのオリーブオイルができあがります。 そんなこともオリーブオイルのおもしろさの一つと言えるでしょう。