イタリア旅行記 ヴェツィア・離島編(Burano)
3月6日から約1か月、イタリアにいってきました。
イタリアに行くのはこれで7回目。
今回の目的はトリエステで行われるオリーブオイルの展示会・Olio Capitareに参加するためと、オリーブオイルソムリエコースのコースディレクターを取得するためでした。
今回はずーっと一緒にイタリアに行きたいと言っていた妹が同行。
今までイタリアに入る時はいつもミラノのマルペンサ空港でしたが、今回の旅はヴェネツィア空港から!
なんでかっていうと、まずは地理的問題。
ミラノからトリエステまでは電車で約6時間・・・うー、ちょっと遠い。
そしてチケットの値段。
日本からトリエステ行きのチケットはあんまり安くなりません。
日本人にとってあまりメジャーな都市ではないので、需要が少ないから?たぶん。
トリエステに近くて日本から行くことのできる空港・・・そうだ、ヴェネツィア空港はどう?
さっそく検索。すると、ヴェネツィア行きの格安チケット、発見!!!
な、なんと、チケット代約17,000円!安過ぎ!
これにサーチャージやら空港使用料やらかかるんですが、それでも73,000円!
これはもう、『買い』です!
そして、妹の『イタリアで行きたい場所』リストの一つにヴェネツィアの離島・ブラーノ島がありました。
初イタリアの妹のリクエストにお応えして、トリエステに入る前にちょっと観光^^
ブラーノ島への行き方:
ヴェネツィア本島の本島の北側にあるフォンダメンタ・ヌォーヴェ(Fondamenta Nuove)乗り場から12番のヴァポレット(水上バス)で約40分。
ここの乗り場に行くのにもローマ広場あたりからヴァポレットを使いました。
ヴェネツィアの本島はもちろん歩いて回れますが、目的があって移動する場合はヴァポレットがとても便利です。
ヴァポレットのチケットは市内バスと共通で、種類もいろいろ。
TRAGHETTO ORDINARIO 1回4ユーロのカナル・グランデを渡るだけ(向かい側の停留所に行くだけ)から、お得な乗り放題も用意されています。
ヴァポレット(市内バス共通)乗り放題チケット ※有効時間は最初の利用からスタート
有効時間 | 金額 |
---|---|
60分有効 | 7ユーロ |
12時間有効 | 18ユーロ |
24時間有効 | 20ユーロ |
36時間有効 | 25ユーロ |
48時間有効 | 30ユーロ |
72時間有効 | 35ユーロ |
7日間有効 | 50ユーロ |
左記時間有効券に4ユーロ(片道)、8ユーロ(往復)を追加すると、空港行きバス(5番)を含むActv社バスを利用できます。
※正確な料金や詳細はACTV社の公式サイトでご確認下さい。
その他、学生用(14~29歳)割引など様々な料金があります。
ご自身の旅行行程にあわせてお選びください。
ヴェネツィアには二回ほど訪れていますが、この島は私も初めてです。
ここはおとぎの国?おもちゃ箱?と思えるほどカラフルで、なんとも穏やかな時間の流れ・・・。
島中の家々がすべて鮮やかな色に塗られていて、見ていてワクワクしちゃう♥
カメラマンでなくても写真を撮りたくなる街。
狭い路地裏の家までもがカラフルに塗られていました。
これには理由があって、その昔この島は漁師の島で、みんな海に魚を取りに行っていました。
冬場は霧が多いため、夕方漁から戻ると家がほとんど見えず、どこに自分の家があるのかわからなかったんだそうです。
そこで自分の家がわかるように鮮やかなペンキで塗ったというのです。
たしかにお隣りさん同士、すべて違う色で塗られていました。
写真で見るより実際は何百倍も気持ちいい所です!
私の中でヴェネツィア一番のお勧めの場所になりました!
是非、自分の目で、肌で感じてみてくださいね!
絶対また行くー!(イタリアはこんなとこばっかです^_^;)
美味しいエキストラヴァージンオリーブオイルが高い理由(その2)
オリーブオイルが日本の消費者に届くまで
前回、イタリアのスーパーに並ぶエキストラヴァージンオリーブオイルの値段が
5~20ユーロとお話しました。(『美味しいエキストラヴァージンオリーブオイルが高い理由(その1)』をご覧ください)
日本でこのランクのこのサイズのオリーブオイルは2500~5000円ほど致します。
(※普通のスーパーではおいていない、オリーブオイル専門店や一部百貨店等で売っている生産者のわかるオイルです。)
2倍以上します!
でも、しょうがないんです。
本物のエクストラヴァージンオリーブオイルを高品質のまま日本の消費者にお届けしようとすると、イタリア国内で販売するときには必要ない、いろいろなコストがかかってきます。
それでは美味しいオリーブオイルはどのようにして私たちのもとに届くのでしょうか?
イタリアと日本の地形は南北に延びていて、とてもよく似ています。
国内であれば陸路でも遠くてだいたい1日くらいですよね。
でも日本まで運ぶのであれば1日、というわけにはいきません。
方法によっては数か月かかってしまいます。時は金なり。
まず、一番安いのは『船便コンテナ』です。
イタリア各地で搾油され、いったん貯蔵して落ち着かせたオイルはその後瓶詰めされて陸路で港に。
普通のコンテナではすでにこの時から激しい温度変化にさらされます。
オリーブオイルはオイルの中では熱に強いほうなのですが、
激しい温度差を繰り返したり、長期間高温にさらされると劣化します。
港では船に積み込む前にコンテナヤードで待機します。
そして荷積され日本に向けて出港。
赤道付近を何日もかけて通るのでコンテナ内部は60℃以上まで上がってしまいます。
上がったり下がったり、コンテナ内は気温差がとても激しいのです。
1~2か月かけて海を渡り、日本に到着したオイルは今度は日本のコンテナヤードに保管されます。
そこからバイヤー→問屋→小売店・・・
そしてようやく私たち消費者の手元に届きます。
この間も保管状態によって劣化する可能性があります。
輸入する側にとってはこれが最安の流通経路ですが、オリーブオイルにとっては好ましくない輸送方法です。
で、もう少し気を遣うインポーターだと
『リファーコンテナ』で輸入します。
通常のコンテナに比べてコストがかかりますが、庫内の温度が管理されるため、温度による劣化の可能性を和らげることができます。
さらに出来る限り早く、そして安全に国内に輸入する方法として
『空輸』があります。
これがベスト。値段はリファーコンテナよりさらに高くつきますが、
インポーターにとっても消費者にとっても一番安心な方法です。
その他にも輸入代行会社に支払う通関手続書類代行料など、様々な経費が掛かります。
そして、オリーブオイルを空輸されるインポーターは日本での保存管理にも気を配ります。
生産者さんが愛と手間ひまをかけて育て、搾油し、
そしてインポーターが温度管理など注意をはらって輸入したオイルは確かにちょっとお高いですが、
大量生産にはない豊かな味わいと確かな品質があります。
皆さんがこれから出会うオリーブオイルが愛情いっぱい詰まった美味しいオリーブオイルでありますように・・・
美味しいエキストラヴァージンオリーブオイルが高い理由(その1)
祝!ブログ開通♪
何か月もほったらかしだった自分のサイトにようやくブログを付けることが出来ました!
WordPressってもともとはブログ。
素直にインストール時についているテーマ-を使えばいいんだけど、
自作のテーマで最初にサイトを作っちゃったから、さあ大変!
一応、イタリアオリーブオイルソムリエのサイトのブログなんですが、
私はwebクリエイターでもあります。
このサイト見て、『うちのサイトも作って欲しいな!』とかいう方いらっしゃいましたら
mina@oliveoilcafe.com
までご連絡くださいませ~!
(まだお問合せフォーム作ってなかった。。。
早急に作んなきゃ、あ、ブログはコメントでもいいんだ、コメントください。)
そーんなわけで、スタートします!
写真はイタリアのスーパーマーケットにて。DOPの500mlボトルが普通に並んでいます・・・
(うらやましい・・・)
日本で見たことのあるボトルもありますね。
値段もピンキリです。5~20ユーロといったところでしょうか・・・安いですね!
もっと安いのもありました。
日本と比べて日常使いがハンパないイタリアです、もうドボドボかけます。
でもなんでこんなに値段が違うのでしょうか?
それはオリーブの実の栽培・収穫・搾油方法に違いがありました。
考えてみれば、どんなものでも大量生産は安い。
・栽培方法の違い
木と木の間隔をつめて出来るだけたくさんのオリーブの実が取れるようにすると・・・
枝全体に太陽が行き渡らないようなオリーブの木からとれる実から搾ったオイルは
やはり美味しくないです、果物ですもの。
木の間隔をあけ、オリーブの実に十分太陽が当たるように剪定すると・・・
手間はかかるし、気の本数も実の数も少なくなるけど、
美味しいオイルが搾れる実ができます。
干ばつに備え、木1本1本に水がいきわたるように管を配置している農場もあります。
まずネットに落とす方法。
地面にネットをはり、機械で木をゆする、
もしくは高枝切ばさみのように手元でコントロールできる熊手のようなものでパタパタとオリーブの実を落とし、ネットを集めて収穫していきます。
ネットをはるタイミングに注目。
大きな農場にありがちのようですが、手間を省くため、
一度に農場すべての木の下にネットをはると
風で落ちた実が腐敗したり、虫に食われたり。
それを一緒に搾油すると・・・
やはり、美味しいものはできません。
面倒だけど、収穫するその日に収穫する場所にだけネットをはって
健康でフレッシュな実を使うことが出来ますね。
ネットではなく、傘をさかさまにしたようなものを木の下に広げて収穫する方法もあります。
そして、集めたオリーブの実をカセッタというカゴに入れる作業も重要。
人手を使ってここで搾る前に悪い実を選別できれば美味しいオイルになれる可能性が!
でも、これも人件費がかかります。
それから一つ一つ手摘みする方法。
時間と手間がかかりますが傷や虫食いなどをチェックできます。
でもね、この辺が難しいんだけど、あまり手摘みにこだわると、
搾る前に時間がかかっちゃって
実が酸化してしまう可能性が!
果物って、木から離れた瞬間から酸化が一気に進むんです!
摘んでから搾るまでの時間が何よりも重要です!!!
収穫後カセッタに入り搾られるのを待っているオリーブたち。
カセッタが積み重ねられ、潰されたり、通気性が悪かったり・・・
そのまま長い時間おいておくと危険です!!!
最も重要と思われる「収穫してからどれくらいで搾られるか」
これがまた難しくて、
大きな農園だと自分のところで搾油所を持っていますが
収穫量が多いので、摘んだまま長い時間待たされるものと、先に搾られるものと・・・
同じ年に収穫した同じ農場のオイルでも
ボトルのロットナンバーによって味が違ったりするのはそのせいです。
また、小さな農場だと共同の搾油所を順番に使いますので
順番待ちで待たされることも。
そして、前に搾油したオリーブオイルが酸化しているモノだったら
そのままその機械を使えば・・・もうお分かりですね。
・搾油方法の違い
圧搾法・・・もっとも伝統的で基本的な方法がコレ。
石臼を使ってオリーブの実をすりつぶし、
ペースト状になったものを盤状のマットに挟んで
上から圧力をかけて実と果汁に分けます。
そしてその果汁が自然と水分と油分に分離(水は下に油は上に分かれますね)、
その上澄みがオリーブオイルとなります。
この手法はほとんどが手作業のため職人的な技術と経験が
美味しいオリーブオイルを作る鍵となります。
また地域の特色や搾油所ごとにそれぞれ違った伝統的な方法が受け継がれてきていますので、一概にこの通りではありません。
そして最近はさらに品質を高めるためにいろいろな工夫がされています。
遠心分離法・・・これは2台の遠心分離機を連動して作ります。
新しい機械になると果実を練って搾って分離させて
タンクに詰めるまでいっさい空気に触れさせず酸度が0.1以下というものもあるんです!
風で葉を飛ばし、オリーブの実はベルトコンベアーで運ばれながら洗浄され、
破砕機に入り実は潰されペーストになり、
攪拌機でさらにそのペーストを練って、
遠心分離機でペーストから果汁を取り出し、
果汁は遠心分離機でオイルと水分に分けられます。
すべてオートマティック。
これなら人件費がかからない上に密閉されたパイプの中で工程が行われるので
早くてしかも衛生的。
ただ設備投資にかなりの費用が掛かってしまいます。
機械式がすべていいかというとそう簡単ではないようです。
粉砕機の砕き方が甘く粗いので実にオイルが残ってしまうそうです。
より多くのオイルを絞り出すために熱を加えて練り込みますが、
この温度が高すぎるとオリーブオイルの風味を損なうので
加熱は28℃を超えないよう設定します(コールドプレス)。
また、ペーストに水を加えて練りこむことで
ペーストを柔らかくして遠心分離機が回転しにくくなるのを防ぐのですが、
その後の脱水作業で水分と一緒にオリーブの成分が溶け出してしまうのも難点の一つです。
そのため圧搾法で作ったオイルと比べ遠心分離法で作ったオリーブオイルは
まろやかで個性が弱くなる傾向があるようです。
ですが、せっかく設備投資していい機械を使っても、
収穫してから搾るまでに時間がかかれば美味しいオイルにはなりません。
オリーブに愛情をもって
このように丹精込めて作られたオリーブオイルの生産過程を知ると
とても数百円で手に入るものではない、
ということがお分かり頂けるかと思います。
ここまでは製造工程ですが、次は日本に届くまでのいろいろをお伝えします(^_-)-☆